宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「まさかと、私も思ったわ。でも、夫は初めての恋に浮かれて家を出て行った。」
「そんな…。」
「今は女と暮らしているわ。今更、離婚は致しませんが夫婦の関係は壊れました。」
一花は返す言葉が無かった。義母は他人事のように話しているが重すぎる内容だ。
「私は、離婚はしてあげないの。」
ウフフと笑ってはいるが、さっきまでと同じ上品な義母とは思えない。
その目には暗い光があった。
「一花さんを島の別荘に置いたままだって聞いて、居ても立っても居られなくて。」
「置いたまま…。ええっと、放置というか…。」
「私は、陸があなたを島に閉じ込めて、檻に囲っているのかと思ったの。」
「はあ?」
「とっても綺麗なお嬢さんだし…。でも、心配して損しちゃった。」
「はあ…。」