宿敵御曹司の偽り妻になりました～仮面夫婦の初夜事情～

息子に対して、何と不気味な表現を義母はするのだろう。
それ程、水杉の男はおかしくなるんだろうか？

「あなたが伸び伸び暮らしているから安心しました。」
「確かに、好きにしていいと言われています。」

今度は、義母はクスクスと笑いだしていた。

二人で遠慮なくお喋りしたら、義母は満足したらしい。
フェリーの時間に間に合う様に帰ると言って立ち上がった。

「あなたに会えて良かった。」

帰り際、敏子はもう一言だけ一花に告げた。

「息子があんな風で申し訳ないけれど、良い所もきっとあると思うのよ。
　だから…一花さん。陸の事、よろしくお願いしますね。」


義母は一花に何が言いたくて島に来たのかな…。

形だけの妻だし離婚前提なんだから、夫にしてあげられる事は何もない。
『よろしく』と言われても、今の一花にはどうしようもないのだ。