キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
智成が帰ることになり、いいと言われても送ると言い張り智成の腕にくっついて一緒に外に出た。
エントランスを出て街灯の下、私は智成に疑問に思っていたことを聞く。
「ねえ智成。お兄ちゃんは智成の浮気だけを言っている気がしないんだけど、なにを心配してるの?」
「俺の浮気は決定事項かよ」
拗ねたように言う智成に当然でしょと言う顔で見遣る。
「だって智成モテるでしょ?」
「そんなの関係ないだろ。俺には茉緒だけだ」
「否定はしないんだ」
墓穴を掘った智成は口を閉ざし何かを考え込んでいる。
お兄ちゃんは智成と付き合うことで私は辛い目に遭うのだと前にも言っていたけど、私とんでもない人と付き合っちゃってるのかな?
浮気意外にいったい何があるというのか、私には思い浮かばなくてちょっと怖い。
「ねえ智成、私たち、このまま付き合ってていいのかな?」
「へっ?」
考え込んでた智成が珍しく驚いた声を出す。
「な、に言ってんだよ」
「だって、お兄ちゃんがあんなに心配するなんて。ねえ智成、なにを隠してるの?」
智成を見上げると抱き寄せられキスで口を塞がれた。
言葉もなく執拗なキスに翻弄され腰砕けになりそうなところを支えられ唇が離れた。
「今は、何も考えずに俺を信じてくれ。俺には、茉緒だけだ、浮気なんて絶対しないから」
荒い息を整えるように大きく深呼吸すると、頭を抱えるように抱きしめられ智成の必死な声が胸に当たる耳からも振動で伝わる。
なにも考えずにいることはできないんですけど。ということは黙っておいた。
なんていうか、今は智成も話せない何かがあるのだと悟った。
結局私は智成に泣かされることになるのかな? とも思った。
< 106 / 252 >

この作品をシェア

pagetop