キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「茉緒、今からでも遅くない。智成はやめろ。ぜっっっったい泣かされるから!」
「泣かさないって言ってるだろ!」
「お前がそのつもりがなくても周りが黙ってないだろ!」
「俺が茉緒を守るからそんなことにはならない!」
「もうっ 二人ともやめてってば!」
私を挟んで言い合うお兄ちゃんと智成を今度は私が引き剥がす。
「お兄ちゃん、智成が浮気するかもしれないから反対してるんでしょ? 私大丈夫だから。ね?」
これでも修羅場潜ってるのだ。私だっていい大人だし、智成とも浮気だ別れだなどと騒ぐことになってもそれは仕方ないと思ってる。ほんとはそうならないようになりたいけど。
「そうじゃないんだよ……」
渋い顔をするお兄ちゃんにまだ何かあるのかと首を傾げる。
そこに智成に肩を抱かれ引き寄せられた。
「茉緒を悲しませるようなことはしない。もしそんなことがあったら今度は本当に俺を殴っていい。俺は本気で茉緒を愛してる、絶対別れない」
「智成」
真剣にお兄ちゃんに訴える智成に私は感激。
お兄ちゃんは諦めたようにため息をついた。
「わかったよ。とりあえずお前らの付き合いに口出しはしない。ただし、前にも言ったが智成は茉緒の気持ちを優先しろ。茉緒を悲しませたら俺が黙っちゃいないことを忘れるな」
「わかってる」
「お兄ちゃん」
「俺はいつでも茉緒の味方だからな」
「うん、ありがとう」
うるうるっときてお兄ちゃんを見つめるとまたポンポンと撫でられた。
優しいお兄ちゃんがいて私は幸せ者だよ。

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