キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
***

なんて兄妹だ。
我が家に転がり込んできた兄妹ふたりに深いため息が漏れる。
陸翔に拝み倒され始まった共同生活はまあそれほど不便はないが(決して同棲ではない!)
あいつは見ての通り煩いやつだし、元々ひとりを好む俺としてはさっさと出てってほしいと思っていたのだ。
それが、妹まで一緒に住むとは思いもよらず、男の家に住まわせて平気なのか? と兄としての陸翔を疑ってしまう。
見る限りは仲よさそうな兄妹なのだが。
極めつけは耳元で囁く脅迫。
『今俺たち見捨てたらきっと後悔するぞ? 茉緒は真面目で不器用なんだ。俺は出張が多いし、その間ひとりにさせてなにかあったらどうしてくれる』
なんだそれは? と思ったが、陸翔には俺の性格を見抜かれているせいか、目の前にいる妹になにかあっては後悔するだろう? と悪魔の囁きを繰り返す。
それくらいの脅しで屈したのは悔しいが、陸翔が言い出したら引かないのもわかっているから仕方がない。短い間のことだ、ここは了承してやろう。
しかし、お前が出張でいない間、俺と妹は同じ屋根の下ふたりっきりになるのは心配じゃないのか?
やっぱり陸翔は兄としてどうかしてるぞ。

< 11 / 252 >

この作品をシェア

pagetop