キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「それと、茉緒の気持ちを優先しろ。もし茉緒が智成の素性を知ってお前から離れると決意したのならそれを認めて潔く別れてくれ」
「それは……」
出来ない。という言葉は真剣な陸翔の表情を見て飲み込んだ。
陸翔は俺たちのことを口出ししないと言っても本心は俺たちのこと反対なんだろう。
かわいい妹を想ってのことだと俺も重々承知している。
だがしかし……。
陸翔にバレないようにと俺を遠避けようとする今日の茉緒の態度を思うと、いずれ俺から離れていくのではと焦燥感にかられ、ほかの男と逢っているのを想像しただけで嫉妬心が燃え上がるように胸を焦がした。
茉緒を今すぐにでもこの家に閉じ込めて誰にも会わせたくないなどと思っている時点で俺は冷静ではないのかもしれない。
おかげでその後、夜中に夜這いを掛けて茉緒の態度に腹を立て意地悪をしてしまった。
茉緒に「ばかっ意地悪っ」と罵られピキッとこめかみに青筋がたったところに「き、嫌いになれない~ばか~」と言われて、俺は自分の自信のなさを茉緒にぶつけていたんだと気づいた。
茉緒に捨てられる想像ばかりして茉緒の気持ちも信じ切れていなかった。
それでも自信のない俺は茉緒にどうしてほしいと懇願するように聞いた。
『抱いて、私を愛して』と茉緒に求められると、ありのままの自分を認められたような安心感があった。
冷静になったつもりだが釘を刺すように何度も俺は茉緒の恋人だと言い聞かせ、茉緒を離してやることができずに明け方まで抱き潰してしまった。
疲れ果て寝てしまった茉緒を抱きしめ頭を冷やさなければと、陸翔の意見に素直に従うことに決めた。

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