キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
言い訳するお兄ちゃんからお酒と共にふわりとフローラルの香りがする。
あれ? この匂いどこかで嗅いだ気がする。
「女の匂いがする」
「えっ!?」
確かめようとお兄ちゃんに近づきクンクンと鼻を鳴らすとお兄ちゃんは驚いて飛び退いた。
ああそうか、思い出した。
いつか智成が酔っぱらって帰ってきたときのこと。
女の人と会ってないのに香水の匂いがして不思議だった。
でも考えたら、お兄ちゃんに抱えられて帰ってきてたからその時に匂いが移ったんだ。
何か月も前のことが今更ながら気がついた。
「お兄ちゃんも彼女と逢ってたんでしょ? 私だけ門限とかおかしくない?」
「い、いや、彼女じゃないし。仕事の付き合いだから」
ぐっと言葉に詰まってしどろもどろのお兄ちゃんを睨む。
「それに、門限は智成との約束だからな。茉緒もそれでいいって言ったはずだぞ」
付き合いに口を出さない条件として門限が設けられたからそれには反論できずに黙り込む。
それでも思いっきり不満な顔で俯いてるとお兄ちゃんの方が折れて私の頭をガシガシと撫でる。
「お前たちの邪魔をしたのは悪かった、今日は不問にしてやるから。そんな拗ねるなよ」
「私たち、順調に付き合ってると思うんだけど、門限なくてもよくない?」
「それはダメ」
融通の利かないお兄ちゃんは一刀両断して私を置いてさっさとマンションに入っていく。
ぶうううううっ!
ここぞとばかりに門限解除を狙ったけど即却下されて私はおもいっきり頬を膨らませた。

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