キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「おっお兄ちゃん!?」
ぎょっとして思わず叫ぶと、ぱかっとドアを開けられた。
「こらっ、十分遅刻! 公衆の面前でいちゃつくな!」
「ええっ? い、いちゃついてないしっ」
いっ、いつからいたの!?
とりあえずキスする前でよかった。とこっそり胸を撫で下ろす。
時計を見たら十時八分。
二分のサバ読み。そして細かい。
まさかお兄ちゃんここで私が帰ってくるの待ち構えてたの?
さすがに呆れてしまう。いいじゃん八分くらい!ほんとにお父さんより厳しい。
「ちっ、小舅が」
ヒクヒクと顔を引きつらせてると横でぼそりと智成が悪態をつく。
「おお、智成~、いいのか? 俺を怒らせるとどうなるか、試してみるか?」
「いや、遠慮しとく。茉緒、またな」
「え? うん。またね」
すっと頬を撫でられ離れていく手に名残惜しくも車から降りた。
智成は「じゃ」とあっさりと手を上げ帰って行く。
え? もうちょっと別れを惜しもうよ。
なんか私だけが寂しがってるみたいでちょっとやるせない。
「茉緒、帰るぞ」
「お兄ちゃんのばか、小舅」
「あ゛ん?」
「なんでこんなところで待ってるのよ! 普通ここまでする? ドン引きなんですけど!」 
鬱憤をぶつけるようにお兄ちゃんに突っかかった。
「違うわっ! 待ってたわけじゃない、たまたま帰ってきたら智成の車が来たから茉緒が乗ってると思って待ち構えてただけで」

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