キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「っ、やめろよ益木の話をするのは。あいつは今男と付き合う暇がないくらい仕事に没頭してるんだ、余計なことで煩わせんなよ」
話を振られた陸翔は慌てて窘め眉根にしわを寄せる。
調子のいい陸翔にしては珍しく話に乗ってこないことにおや? と思う。
「え~、いいじゃん、なんでお前がそんなこと勝手に決めるんだよ」
「あ~、俺の妹とひとつしか違わなくてつい兄感情がでるというか……。あいつは今ひとり立ちしようと必死なんだよ。そっとしといてくれ」
兄らしく悩ましい顔をする陸翔に皆ほお~っと感心したように頷いている。
だが俺は騙されないぞ、陸翔。
目が合った陸翔ににやりと笑ったら速攻で逸らされた。
まあ、この件はおいおい問い詰めてやろう。
「そういや、八坂は今妹と住んでるんだって?」
「ああ、まあな」
「どんな子だ? かわいいか? 今度紹介しろよ」
「「はあ?」」
俺と陸翔の声が重なる。
陸翔の妹ならかわいいだろうと勝手なことを言って興味津々で言ってきたのは陸翔よりも調子のいい安岡。それに同調する数人。
「そりゃあ、俺の妹だからかわいいに決まってる」
褒められ鼻高々の陸翔は自慢げに言って、しつこく紹介しろという安岡をじらしている。
「どうしよっかな~、俺のお眼鏡に叶えば紹介してやってもいいけど~」
「おいこら陸翔、勝手なことを! ま……」
茉緒は俺の彼女だぞ! と、言ってやりたいところをぐっと陸翔に引き寄せられ耳打ちされた。

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