キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「茉緒と付き合ってることはみんなに言うのは禁止だ。俺はまだお前たちを認めてないからな」
「おま、ここでそんなこと言うか?」
フンと鼻を鳴らした陸翔は訊きたがる奴らに妹は三つ年下ということだけ教え散々じらした後、ころっと違う話題を出しまんまと妹話から話を逸らした。
俺ははっきりと付き合いを認めていないと陸翔に言われてショックでむしゃくしゃとしてビールを煽った。
そこにどうぞと有川に追加のビールを注がれる。
こうなったのも俺がはっきりと態度に表しているのにめげない有川のせいだ、とふがいない自分を置いて彼女を睨む。
「悪いが自分のペースで飲みたいから放っといてくれるか」
思いのほか低い声が出て有川はピシリと固まった。
「おお、風間有川さんに冷たい。もう少し女性に優しくしろよ」
調子のいい安岡が今度は俺に絡んでくる。
茉緒を紹介しろと言った安岡もキッと睨み鼻を鳴らす。
「これが俺の通常運転だ」
元から俺は女性となれ合うつもりはない。
秘書室室長という立場であり、ほぼ女性だらけの部下を統括してるのもあって厳しめに接している。
有川にはそれより二、三度は冷たくしてるかもしれないがほかの秘書からしたら大差はない。
「うげ~、こわっ。風間は付き合う彼女にもそんな態度なわけ? 俺なら耐えられなくてすぐに逃げるぞ」
俺だって男の安岡と付き合うつもりはないのだが、顔だけよくても冷たいのはモテないぞなんて余計なことを言われてムカッと来る。
だが、俺はあることを思い出した。
「ふん、彼女に言わせると、俺は胸やけするくらい甘やかしすぎるそうだ」
そうしたいからしてるだけで俺には自然なことだったのだが、茉緒は胸に手を当て顔を真っ赤にして『む、胸やけする』と呟かれたことがあった。
嫌がってるわけではなく恥ずかしがってるのは明白でそんな茉緒がかわいくて余計に甘やかしキスしたくなるのだが、茉緒は俺を煽っているという自覚がないから困ったものだ。

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