キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
「私、妹さんと義理姉妹になりたいです! 八坂さん! よろしくお願いします!」
「……は? え? ……はあっ!?」
状況が把握できないお兄ちゃんは素っ頓狂な声を上げる。
「つまり、陸翔と結婚してくれるってことか?」
智成が冷静に問うと益木さんはこくりと頷いた。
「はい。八坂さんが思いを寄せてくれたことは嬉しかったのですが、私なんかでいいのかと思うとやっぱり自信がなくて……でも、妹さんとは女同士仲良くなれそうな気がするんです。妹さんに勇気づけられると私でもいいのかなって素直になれる気がして」
「益木さん、お兄ちゃんは益木さんだから好きになったんですよ? 自信持ってください。だよね? お兄ちゃん」
「そ、それはもちろん」
呆気に取られているお兄ちゃんはこくこくと頷く。
「よかったじゃないか陸翔、おめでとう」
智成がまた肘でお兄ちゃんをつつくと、お兄ちゃんは複雑そうな顔をした。
「や、嬉しいのは嬉しいんだが……」
しっかりと手を繋いでいる私と益木さんを見てなぜか嘆きだした。
「俺が真剣にプロポーズしたってうんと言わなかった癖に! なんで茉緒に口説かれてその気になってんの!? なんか納得いかない!」
わーっ!と智成の肩に縋って喚くお兄ちゃんにみんなギョッとした。
「お、お兄ちゃん!?」
「や、八坂さん、ごめんなさ……」
「茉緒のばか! この小悪魔! 人たらし!」
せっかくふたりの仲を取り持ったというのに悪態つかれて呆然。
「お前の妹なんだから仕方ないだろ。お前も相当、馬鹿で小悪魔で人たらしだぞ?」
泣きつかれた智成は呆れつつも私の代わりに言い返してくつくつ笑う。
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