キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
ここら辺でいいな、と止まった智成が私を引き寄せ囲い込んだ。
背中から智成の体温とお腹の前で交差する腕に、こ、これはもしかしなくても、バッグハグですか!?とひとりで舞い上がってしまう。
ドキドキしてる間に周りから次々人が押し寄せてきてもう動くのもままならない。
智成は私を守るようにより強く抱きしめ私は戸惑い固まった。
「大丈夫か? 茉緒」
「う、うん」
後ろから耳元に吐息がかかってくすぐったい。
しかも頭にすりすりと頬を摺り寄せ、私の肩に顎を乗せた。
ちょっともう、後ろが振り向けないよ。
恋人がいなかったわけじゃないのに、今までの経験はなかったみたいに初心な反応しかできなくて調子が狂う。
恋人のフリしてって言ったのは失敗だったかも。
こんなにドキドキしてたら心臓が持たない。
黙っているのも持たなくてつい聞いてしまった。
「智成って、いつもこうなの?」
「え? なにが」
「恋人がいると、こんなに甘くなるの?」
「甘い? そうか? 普通だろ」
「いえいえ、びっくりしてついていけないくらい甘いですよ智成サン」
「変なの」
耳元に吐息がかかりいちいち反応してしまって思わず敬語になるとくすくす笑われた。
そんなときでも人混みに押されてぐらぐら揺れる体を智成は支えてくれる。