キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
楽しいひと時というのは、ほんとあっという間。
夕方になった頃、この後レストランを予約してくれてるということで帰路についた。
智成の運転する車の中で名残惜しく遠ざかる夢の国を見送り前を向くとお礼を言った。
「はあ、あっという間だったね。ありがとう智成。すっごい楽しかった」
「それはよかった。俺も久しぶりに楽しめたよ」
恋人のフリなんて無茶ぶりしたのに、智成も楽しんでくれたのはうれしい。
夢の国を思う存分楽しみ、甘々で優しすぎの智成をいっぱい見れて私は満足だ。
この思い出を糧にひとりで生きていけそう。
なんて、大げさなことを思ってしまった。
特別な一日がもう終わってしまう。
名残惜しく思いながらゆっくりと茜色に染まる空を眺めた。
レストランはどこに行くのか聞いても智成は内緒と言って教えてくれなかった。
見慣れた街に帰ってくると間もなく繁華街へと着いた車が一軒のお店の前に停まった。
「よし行こうか」
「ここ?」
智成が行こうとしているところはどう見てもブランド店街のど真ん中にある高級ブティック。
まさかドレスコードのあるレストランに行くためのここ? 
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