キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
今日はレジャーランドに行くからってチュニックとジーンズにスニーカーという軽い恰好。
レストラン予約したって聞いた時に、こんな格好でいいの? と聞いたら大丈夫って言ったくせに、まさかここで着替えるとか言わないよね? 
ガラス張りの店内はちょっと私のお財布では払えなさそうなほど高級感が漂っていて尻込みする。
そんな私に智成はなにも茉緒に金払えなんて言わないしなんて言う。
いや、それはそれで恐れ多いといいますか、遠慮したい。
「茉緒、俺は茉緒の恋人だろ? そこは遠慮しないでありがとうと言っておけ」
「え? まだ恋人のふりしてるの?」
「当たり前だ、今日だけって、茉緒が言ったんだぞ? 今日はまだ終わってない」
恋人のふりは夢の国の中だけだと思ってた。
まだ続いていたとは自分で言っておいてびっくりだ。
腑に落ちない気もするけど、強引に納得させられきらびやかな店内へと導かれる。
「俺が茉緒に魔法をかけてやる」
智成は紳士のように私をエスコートし不敵に笑う。
そこは、なにそのキザなセリフ! と笑い飛ばすとこなんだろう。
でも、私はときめいてしまって息を吞んだ。
普通なら吹き出してしまいそうなキザなセリフも智成が言うとかっこよく見えてしまうんだから、イケメンさんは得だわ。一瞬王子さまに見えてしまった。
あ、そこは魔法使い?
智成の魔法に思いっきり絆されてしまった私はお言葉に甘えることになった。
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