キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
いつの間にか寝ていた私は、なんだか熱くなって布団をばさりと除けた。
胸のあたりがもぞもぞして無意識にぽりぽりと搔く。
「ん、智成くすぐったい……」
寝言を零したところに、背中が小刻みに揺れ、胸の先端をきゅっと摘ままれた気がして「あんっ」と思わず恥ずかしい声を出してはっと目が覚めた。
「へっ!?」
気づけば私のパジャマはたくし上げられ大きな手がすっぽり胸を覆い、背中には熱い熱と共にまだ小刻みに揺れてくくくっと声が聞こえた。
「くくっ、寝ぼけてる」
「やっやだっ! 智成?」
一瞬パニックになったけど私を後ろから抱きしめていたのは智成だった。
真夜中にいきなりなにをやってるのかと焦る。
「な、なにしてるのよ智成、お兄ちゃんにバレたらどうするの?」
「陸翔はぐっすり寝てるよ。部屋も一部屋開いた隣だし声なんて聞こえるわけないだろ?」
そうかもしれないけど、予想外なことはいつでも起こりうるのだ、突然お兄ちゃんがドアを開けたらどうする。
「とにかく、お兄ちゃんに私たちのことバレたら困るんだから大人しく自分の部屋に戻ってよ」
智成を押しのけるように胸を押したけどびくともしない。
しかも私の上に圧し掛かってきて羽交い絞めにされた。
「やだね。茉緒にお仕置きしないことには寝られない」
「ちょっと、お仕置きってなに」
「俺を邪険にしておいてとぼけたふりをするとはいい度胸だ」
ギラリとした目が暗がりでもわかるほど私を射抜き背中がゾワリとした。
これは、怒ってらっしゃる?
邪険にしたつもりはないけど、私はお兄ちゃんに私たちのことを隠すのに必死で、確かに智成は不満そうだったけど、そんなに怒ること?

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