キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です

近くの商業施設に足を運ぶと、ふたり歩く姿がショーウィンドウに映った。
智成がスーツだから私のワンピース姿は浮くことなく、中身はさておき恰好だけは釣り合いが取れていてうれしくなる。
ふふっと笑っていると智成の視線を感じて目を合わせた。
「どうした?」
「ん? なんか、うれしいなと思って」
繋いだ手をキュッと握ってその腕に頭を預けるように寄り添うと、智成が歩みを止めた。
どうしたのかと顔を上げると繋いだ手と反対の手が私の顎を捕らえ目の前に影が差した。
瞬時になにをしようとしてるのか気づいて私はバッと智成から体を離す。
「ちょっ! 何するつもり!?」
「茉緒がかわいいこと言うから、したくなるだろ、キス」
「っ、人前でやめて!」
顔がブワッと熱くなって、ここ外! 公衆の面前! と、咎めるように睨むと、智成はまたニヤリと意地悪な顔で平然としている。
家でも隙あらばキスしてきたけど外でもしてくるとは、この人キス魔だったと改めて実感。
してほしいのはやまやまだけど私にも羞恥心というものがあるのだ。人前でキスシーンを披露したくはない。
そんな私の心境を知ってか知らずか、「ごめんごめん」と軽く謝る智成に外ではやめて! と念を押してまた歩き出した。
店内を歩きながら気になる商品を見つけては立ち寄り束の間のデートを楽しんだ。
食品売り場であれこれと食材をふたりで選び家路に着く。
今日は智成のリクエストでヘルシーな和風ハンバーグを作ることになった。
ヒジキや野菜をいっぱい入れておろしポン酢で食べるハンバーグは一度作ったことがあって智成も気に入ってくれてたみたい。
やっぱり私たちが出て行ってから食生活がままならなくて外食になってしまい手作り料理に早くも飢えてるのだそう。
「茉緒の料理が恋しい」なんてうれしいことを言われて照れてしまった。
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