ハニー、俺の隣に戻っておいで
けれども、それとニーナは話が別だ。 ジェームズは、ジョンのそばに女性がいるのを見たことがあるかどうかヘンリーに聞かれたことがあった。

もちろん、答えは否だ。 しかし今、ジョンはどういうわけかそれを許しており、その女性というのは美しくも気が強いニーナだった。

ヘンリーはまた、以前彼の叔父の逆鱗に触れた人々が今どこにいるのか知っているかとジェームズに尋ねてもいた。 彼は少し考え、叔父を怒らせた人は皆レキシントン市からいなくなり、二度と姿を見せない事にはっきり気がついた。

しかし最近、叔父を二度も怒らせ、恥ずかしい思いをさせた人物がいるのだ。 それにもかかわらず、彼女はまだ市内で平然と暮らしている。

まったく驚いたもんだ。

そして、ヘンリーが彼にこっそり教えた最も重要な点は、ニーナが彼の叔母であるということだった。

ジェームズはそういう結論を下すにはまだ時期尚早だと思ったが、じっくり考えてみると、ニーナが近い将来彼の叔母になるかもしれないという推測は理にかなっている。

そういうわけで、彼は全力でニーナをおだてあげなければならないのだ。

ちょうどニーナはジョンを探していて、 運のいいことに、ジェームズは彼が今日どこに行くのかを正確に知っていた。

「叔母さ…… いや、先輩、ジョン叔父さんはここです」
悔しいことに、彼はほとんどニーナ叔母さんと言いかけていた。

ニーナは興味深げに顔を上げ、「ドラゴンクラブ」と書かれた看板に目をやる。 それは夜になると特に眩しく輝き、カラフルに煌めく魅力的な七色の電飾に包まれた高層ビルの一角にあった。

ニーナはこの場所が何であるか、一目見るとすぐに理解した。
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