ハニー、俺の隣に戻っておいで
そして本能的に入るのを嫌がって、 「私はあなたの叔父さんに偶然遭遇しなくちゃいけないの。連れて行ってもらったら意味がないわ」と言った。

そして踵を返し、立ち去ろうとする。

けれども、その前にジェームズが彼女の腕を掴んで言った。

「ちょっと待て、先輩。 俺に考えがある。中にはビリヤードルームもあって、ビリヤード好きな友達がいるんだ。そいつと一緒にビリヤードをするのはどうだ?おじさんに偶然出くわすかもしれないだろ?」

どういうわけか、ニーナはジェームズが彼女と彼の叔父の間を取り持とうとしているのではないかと落ち着かない気分になった。

(ううん、そんなわけがない。 ただの考え過ぎだ。たとえジェームズの気が変になっていたとしても、自分と同年代の若い女の子が叔母になるなんて御免だっただろう)

一方、ニーナも考え直していた。 ジョンにビデオの録画をしっかり削除して欲しかったからだ。ジョンがあれを手放さない限り不当に脅され続けることになるので、ニーナはついに妥協し、ジェームズを追いかけてクラブに飛び込んだ。

二人はビリヤードルームに行くエレベーターに黙って一緒に乗り込む。

驚いたことに、眩しい部屋は豪華に装飾されており、 大理石の床はカーペットで覆われ、高い天井からぶら下がっている煌びやかなシャンデリアもこの上なく豪華だ。

部屋の真ん中には全部で十台のビリヤード台があり、 休憩スペースには柔らかいソファと、ありとあらゆる果物や赤ワインを乗せた小ぎれいなテーブルが置かれていた。
ウェイターは数メートルごとにピシッと立っていて、張り付いた笑顔で客の要望に応えている。

ビリヤードをしたり、休憩エリアでゆったり寛いだりしている人々は、たいてい非の打ち所のないビジネススーツを着こなして 資本について話しあっているが、みんな有力者なのだろう。
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