ハニー、俺の隣に戻っておいで
けれどもジョンは平然と手を洗い、つまらなそうに「俺は別に、怒って目を刳り抜いたりしないぞ。 おまえの目を刳り抜いちまったら、俺のあそこを見られなくなっちまうだろ?」

ニーナの顔はすでにトマトのように赤くなっていたが、この一言でいきなり紫に変わリ、 緊張のあまり喉が乾き、声は嗄れてしまった。 そして唇を舐めたが、落ち着かずにまた唾を飲み込んだ。

ニーナは目の前に放り出されているものを見たくなかったので目は固く閉じたまま、ぎゅっと拳を握り締めた。

ジョンが洗面台の前に立ったとき、彼女の無邪気な顔にはおろおろした表情くっきりと浮かんでおり、 薔薇色に染まった頬っぺたまで、可愛らしく魅力的に見えた。

ジョンがニーナのこんなにいじらしい赤面を最後に見たのは、二十日前のフォーシーズンズガーデンだった。

その瞬間、彼はもう一度ニーナをからかってやりたい気分に駆られ、 身を乗り出すと低い声で誘惑的に囁いた。「そんなに顔真っ赤にしてどうしたの? もしかして……」

「馬鹿おっしゃい! いい加減にしてよね!」 ニーナは反駁するとさっと一歩後ずさりする。 睫毛を微かに震わせながら目を開けると、美しい表情がさらに魅惑的で気をそそる。

ジョンは唇がニコリと持ち上がるのを抑えられず、ニーナに近づこうと一歩踏み出す。 そしてニーナにぴったりと身を寄せると、魅惑的だが真面目な声で呟いた。「俺は他の女のことなんか想像しないぞ。 俺が考えているのはおまえのことだけだ」
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