ハニー、俺の隣に戻っておいで
彼自身もおそらくそれを分かっていて、 だからあんなにナルシストなのだろう。

そして、食事をしている間もなお高貴に見えるのだった。 黙ってさえいればね!

一方ジョンも、ニーナが時々こちらをチラチラ窺っているらしいことに気づいていたが、今や真っ直ぐに見つめてくるではないか。

彼はなんとか笑いを堪えようとしたものの、心の中では有頂天になっていた。 そして、皮をむいたロブスターをそっと彼女のお皿に入れると耳元で囁いた。「慌てるな。 夜まで待てばいいのさ」

そうすれば好きなだけ俺を眺められるぞ。

おまえが見たいものは何だって見せてやろう。

彼は小声でそう言ったのだが、ジェームズとミシェルにははっきり聞こえており、 二人とも驚いたようだ。 けれども、彼らは二人が何の話しているのか完全には理解していなかった。

「夜まで待つって? 何の話?」ジェームズは興味津々に尋ね、カニを口に押し込んだ。 彼はしょっちゅうこういう不適切な質問をするのだ。

「黙ってろ!」 ジョンが命令すると ジェームズは素直に従う。

一方、ニーナはお椀につきそうなくらい顔を下げた。

ミシェルはむしゃむしゃ食べながら、同時にニーナに食べ物を渡していたが、 ニーナが顔を下げたので心配になって尋ねる。「ニニ、何で食べないの? 気に入らないの?」

「え、美味しいわ。 食べているわよ」 そう言うとニーナは後ろめたそうにスプーンを口に持っていき、シーフードのお粥を食べた。

ニーナが大丈夫なのがわかるとミシェルはホッとして食べ続ける。

しかし、彼女は急に話題を変えた。 「あなたってジェームズの叔父さんなんですよね。じゃあ、私もあなたのことおじさんて呼ぶわ。 おじさん、ジェームズからニニが好きだって聞いたんですが、本当ですか?」
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