政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「鴇田さん……あ、結婚したんなら鴇田さんじゃないのか。
とにかく、結婚したんだってー!」

「これは……喜ぶべきなの?」

父親に命じられて知らない人とお見合いして結婚したというのは知っているだけに、周りの反応は微妙だ。

「あの。
旦那様になった人、とても優しくてなんでも私の願いを叶えてくれて。
こんなに大事にされていいのかな、って」

零士さんは優しくて、お義父さまもお義母さまも私を可愛がってくださって。
鞠子さんたちからは相変わらず嫌がらせをされているが、そんなの些細な問題だと思えるほど幸せだ。

「のろけ?」

一気に皆、呆れムードになっていく。

「あー、そうなんですかね……?」

私としては事実を言っただけのつもりだが、人から見れば完全にのろけか……。

ひさしぶりの外は楽しかった。
家族以外の人間と気兼ねなく話せる機会は今となっては貴重だし。
気分は、会社員時代に戻っていく。

「独立ってもしかして、けっこう前から準備していたんですか?」

隣に座った古手川さんと、あの日と同じく小さくグラスを合わせる。

「そうだな。
水面下ではいろいろやっていた。
鴇田が辞めたすぐあとに……って。
今は鴇田じゃないよな?」

口にグラスを運びかけて止め、彼は聞いていた。
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