政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
早く帰らなければと携帯を探しだす。
そこにはおびただしいほどの零士さんからのメッセージと着信履歴か表示されていた。
そのせいか、電池残量はレッドゾーンに突入している。
とりあえず、すぐに帰ると零士さんに連絡を入れようと、一番上の着歴をタップして折り返す。
しかし、ワンコールも鳴らないうちに携帯は沈黙した。

「嘘……」

もう日付も変わり、終電もとっくに終わった時間。
どうしていいかわからなくてパニックになっていたら、古手川さんが起きた。

「んー……。
鴇田、起きたのか……?」

「古手川さん!
すみません、タクシー呼んでもらえますか!?」

こんなの、零士さんに申し分けなさすぎる。

「んー?
このまま泊まっていけばいいだろ」

「そういうわけにはいきません!」

「はいはい、わかった……」

抗議すると、ふぁーっとあくびをして後ろ頭をぼりぼり掻きながら、まったく緊張感なく古手川さんはタクシーを呼んでくれた。
そのあいだに手早く帰る準備をする。
残っているのは私と彼だけで、他の人は全員帰ったようだ。
というか、せめて帰るときに起こしてほしい。

「五分くらいで来るってよ」
< 132 / 252 >

この作品をシェア

pagetop