政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「その……マグロ、好きなんですか?」

「好きだな」

私の問いに答え、手にしていた寿司をぽいっと彼は口に入れた。

「マナーだとかうるさいから普段はなんでも食べるが、本当は好きなものだけを食べたい」

さらに彼がマグロを頼む。
今度は大トロだ。

「清華はきっと、嫌な顔はしないだろ?」

私と目を合わせた零士さんの目が、眼鏡の向こうで細くなる。

「そうですね、別に好きなものを食べたらいいと思います。
……ただ」

「ただ?」

少しだけ不安そうに、零士さんは私に尋ねた。

「たまには、ですよ?
毎日好きなものだけを食べていたら、病気になっちゃいます」

「だな」

笑いながら零士さんが大トロを口に運ぶ。
さらにマグロを食べ過ぎだと思ったのか、次はヒラメを頼んでいた。
零士さんはたぶん、この格式ばかりを重んじる私たちの世界が嫌いなんだろう。
そういうところは気が合いそうだと思った。

お寿司を堪能し、家に帰る。
お風呂に入ったあと、零士さんは寝室のソファーに私を座らせた。

「じゃあ、清華の耳にピアスの穴をあけるが……いいな?」
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