今さら好きだと言いだせない
昼休みに燈子と社食でご飯を済ませ、部署に戻る途中にひとりでトイレに立ち寄ったのだけれど、私はそこで意外な人物と遭遇した。
個室を出て鏡のある手洗いスペースまで行くと、片隅にポツンと溝内さんが立っていたのだ。
彼女は手を洗うでも化粧を直すでもなく、体の前で手を組んでこちらを見ている。まるで私を待ち構えてでもいたかのように。
「……お疲れ様です」
「お、お疲れ様。溝内さん、どうしたの?」
そう尋ねずにはいられなかった。彼女が働く経理部はひとつ下の階で、そちらにも女性用トイレはある。
だからわざわざこの階のトイレを利用しなくてもいいはず……。というかそもそも、溝内さんはそのためにここに来たわけではなさそうだ。
「町宮さんに話しかけようとしたら、ここに入ってしまわれたんで、私もついて来ちゃいました」
ぼそぼそとした喋り方だし、視線も所在なさげで定まらない。
今日の彼女はいつもとは全然違っていて不自然で、まずそのことに驚いてしまった。
自信に満ちた表情でハキハキと要点だけを話す普段の溝内さんはどこに行ってしまったのだろう。
個室を出て鏡のある手洗いスペースまで行くと、片隅にポツンと溝内さんが立っていたのだ。
彼女は手を洗うでも化粧を直すでもなく、体の前で手を組んでこちらを見ている。まるで私を待ち構えてでもいたかのように。
「……お疲れ様です」
「お、お疲れ様。溝内さん、どうしたの?」
そう尋ねずにはいられなかった。彼女が働く経理部はひとつ下の階で、そちらにも女性用トイレはある。
だからわざわざこの階のトイレを利用しなくてもいいはず……。というかそもそも、溝内さんはそのためにここに来たわけではなさそうだ。
「町宮さんに話しかけようとしたら、ここに入ってしまわれたんで、私もついて来ちゃいました」
ぼそぼそとした喋り方だし、視線も所在なさげで定まらない。
今日の彼女はいつもとは全然違っていて不自然で、まずそのことに驚いてしまった。
自信に満ちた表情でハキハキと要点だけを話す普段の溝内さんはどこに行ってしまったのだろう。