今さら好きだと言いだせない
 翌日になり、飲み会にもうひとり参加する旨を徳永さんにメッセージで伝えると、大歓迎だと返事がきた。
 芹沢くんに宣言したように、今夜はうまく抜け出す形で早めに帰ろうと思う。
 飲み会に参加することで徳永さんへの義理は果たせるだろう。社会人なので付き合いがあるのは仕方がない。
 遅れて来てもいいと徳永さんから連絡が来ていたけれど、できるだけ残業にならないようにテキパキと仕事をこなす。
 仕事を終え、燈子と連れ立って会社の建物を出て歩いているところへ、後ろから芹沢くんが走って追いついてきた。

「お疲れ」
「お疲れ様。今日は私と芹沢くんが南帆のボディーガードだね」

 燈子の言葉に「なにそれ」と突っ込めば、芹沢くんは「ふたりとも飲みすぎるなよ」と笑っていた。

 飲み会が行われる居酒屋の扉を開けると、店員と話をしている徳永さんの姿が見えた。
 私たちに気づいてこちらにやって来た彼の表情は、笑みはたたえているもののなぜか微妙に引きつっていた。

「もうひとり参加って……芹沢だったか。てっきり女の子かと思った」
「俺ですみません」
「うん、残念だよ」

 徳永さんがさすがに失礼だろうという言葉を冗談ぽく口にするのは、彼が芹沢くんより先輩だからだ。
 芹沢くんがムッとしたらどうしようかと心配になったが、こういう会話には慣れているのか平気な様子でホッとした。

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