今さら好きだと言いだせない
「隙があったら当然狙いにいくよ。心配で飲み会について来たものの、あんなふうにほかの女の子とばかり話して、肝心の恋人をほったらかしてるんじゃ隙も生まれるよね」

 あれでも彼氏なのか? と言いたげな表情で、徳永さんが芹沢くんの方向に目を向けた。
 それにつられて私も同じように視線を移すと、佐武さんとふたりで話し込む芹沢くんの姿があった。
 ふたりは横並びで座っていて、佐武さんがなにか話すたびに彼がうんうんと相槌を打っている。

『飢えたオオカミの中に飛び込むつもりだったのか?』

 昨日芹沢くんに言われた言葉が脳裏に浮かんだ。
 飛び込ませたくないからついて来てくれたと思っていたけれど、違うの?

『俺、一応彼氏だからな? わかってる?』

 わかっていないのは芹沢くんのほうじゃない?
 今、佐武さんとそんなに長話しないといけないの? 

 胸の中にドス黒い気持ちが湧いてきて、それがどんどん増殖してぐるぐると渦巻いている。
 こんな自分は嫌なのに、自分自身でコントロールができない。


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