執事的な同居人
「髪の毛乾かさないと…」
眠たくて重たい身体をベッドから起き上がらせる。
ふあーっと、
大きなアクビが出た。
もう乾かさずにこのまま寝ちゃおうか。
あーでもなぁ。
髪の毛ギシギシになっちゃうし…
ずっと伸ばしてきた髪の毛。
この前までは長くなっていたらすぐに切っていた。
ショートヘアが定番の私だったけど、
まあ、ちょっといろいろあって、伸ばしはじめた。
今ではもう、腰ぐらいまで伸びている。
「ドライヤードライヤーっと…」
洗面所に向かえば
1つだった歯ブラシが2本に増えていたり、コップも2つになっていたりと、
いろいろと物が増加していた。
「髪の毛、乾かすんですか?」
「のわっ!!び、ひっくりした…」
突然、後ろから聞こえた声に身体がビクッと跳ねる。
ふわりと香る石けんの香りが、
私の鼻をくすぐった。
「すみません、歯ブラシ取らして下さい」
「あ、うん。どーぞ…」
後ろから伸びてきた腕が、私の顔の横を通ってヒョイっと歯ブラシをとる。