はなびら
「おい翔!」
登校中、後ろから同じ部活の中田淳がいきなり肩を組んでくる。
「中淳か、いきなりなんだよ。」
中田は何か企んでいるような顔をしている。
「お前昨日綿谷とどうだったんだよ〜」
やっぱりそのことかと思い、ため息をつく。
「別になんともねーよ。逆に同じ部員の奴が怪我してんのに放っておく方がおかしいだろ。」
俺は澄ました顔で正論を言ってやった。
「ちぇー。つまんねー奴だな〜
救護室から出てきた後、お前顔真っ赤だったから絶対何かあったと思ったのによー」
それを聞いてまたあの時のことを思い出してしまった。
みるみる顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。
「う、うるっせえな!あの時は!あ、暑かっただけだよ!」
「なに勝手に顔赤くなってんだよ〜
やっぱなんかあったんじゃねえか!」
側から見れば特別何かがあった訳ではない。
だけど俺からしたら
あのガッツポーズと
笑顔と
赤くなった顔は
特別のように見えた。
ただ、それだけだ。
「あ、そういえば翔。
綿谷のこともいいけどよ、この前の一ノ瀬のこと、考えといてくれよ。
一応俺一ノ瀬と小学生からの腐れ縁だし断れなくてよー
ちゃんと返事してやってくれ。」
中田は手をひらひらさせながらも、少し真面目なトーンで話した。
一ノ瀬祐希とは俺と同じクラスの女子だ。
一度も話したことがないが、中田経由で一ノ瀬が俺に好意を持っていることを知った。
というか、中田経由で告白されたようなものだ。
なんでも、女っ気のない俺が気になるらしい。
女っ気のないって、余計なお世話だ。
「あー、まあゆっくり考えとくよ。」
断るのも申し訳なくてとりあえずはぐらかす。
「そんなこと言って、一ノ瀬より綿谷の方が気になるんだろ?」
中田がまたにやにやした顔でからかってくる。
「っとにお前って奴は!」
中田を追いかけ回していると、後ろからブレザーの袖を小さく引っ張られた。
驚いて後ろを振り返ると、そこにはいたずらをした子供のような顔の一ノ瀬が立っていた。
小柄な体型にも関わらず、胸あたりまで伸びた黒髪のロングがより一ノ瀬の大人っぽさを引き立てる。
「樋山君!おはよ!」
勢いのある挨拶に圧倒され、俺は小さく会釈を返すぐらいしかできなかった。
そんな俺にも一ノ瀬は明るく振る舞ってくれる。
「樋山君もちゃんと挨拶してよ〜
あっ!そういえば、今日一緒に帰れたりする?」
「今日?俺部活あるけど。」
「私も今日吹部あるから大丈夫だよ!
部活終わったら正門前に集合ね!約束!」
一ノ瀬は俺の左手首を掴み、強制的に指切りの形へと持っていった。
そのあと笑顔で立ち去る小さな後ろ姿を見送った俺は、大きな息を空に吐き出した。
登校中、後ろから同じ部活の中田淳がいきなり肩を組んでくる。
「中淳か、いきなりなんだよ。」
中田は何か企んでいるような顔をしている。
「お前昨日綿谷とどうだったんだよ〜」
やっぱりそのことかと思い、ため息をつく。
「別になんともねーよ。逆に同じ部員の奴が怪我してんのに放っておく方がおかしいだろ。」
俺は澄ました顔で正論を言ってやった。
「ちぇー。つまんねー奴だな〜
救護室から出てきた後、お前顔真っ赤だったから絶対何かあったと思ったのによー」
それを聞いてまたあの時のことを思い出してしまった。
みるみる顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。
「う、うるっせえな!あの時は!あ、暑かっただけだよ!」
「なに勝手に顔赤くなってんだよ〜
やっぱなんかあったんじゃねえか!」
側から見れば特別何かがあった訳ではない。
だけど俺からしたら
あのガッツポーズと
笑顔と
赤くなった顔は
特別のように見えた。
ただ、それだけだ。
「あ、そういえば翔。
綿谷のこともいいけどよ、この前の一ノ瀬のこと、考えといてくれよ。
一応俺一ノ瀬と小学生からの腐れ縁だし断れなくてよー
ちゃんと返事してやってくれ。」
中田は手をひらひらさせながらも、少し真面目なトーンで話した。
一ノ瀬祐希とは俺と同じクラスの女子だ。
一度も話したことがないが、中田経由で一ノ瀬が俺に好意を持っていることを知った。
というか、中田経由で告白されたようなものだ。
なんでも、女っ気のない俺が気になるらしい。
女っ気のないって、余計なお世話だ。
「あー、まあゆっくり考えとくよ。」
断るのも申し訳なくてとりあえずはぐらかす。
「そんなこと言って、一ノ瀬より綿谷の方が気になるんだろ?」
中田がまたにやにやした顔でからかってくる。
「っとにお前って奴は!」
中田を追いかけ回していると、後ろからブレザーの袖を小さく引っ張られた。
驚いて後ろを振り返ると、そこにはいたずらをした子供のような顔の一ノ瀬が立っていた。
小柄な体型にも関わらず、胸あたりまで伸びた黒髪のロングがより一ノ瀬の大人っぽさを引き立てる。
「樋山君!おはよ!」
勢いのある挨拶に圧倒され、俺は小さく会釈を返すぐらいしかできなかった。
そんな俺にも一ノ瀬は明るく振る舞ってくれる。
「樋山君もちゃんと挨拶してよ〜
あっ!そういえば、今日一緒に帰れたりする?」
「今日?俺部活あるけど。」
「私も今日吹部あるから大丈夫だよ!
部活終わったら正門前に集合ね!約束!」
一ノ瀬は俺の左手首を掴み、強制的に指切りの形へと持っていった。
そのあと笑顔で立ち去る小さな後ろ姿を見送った俺は、大きな息を空に吐き出した。