傾国の姫君
私は余裕の表情を浮かべている秦王に向かって叫んだ。

「覚えておけ!お前を追い詰めて、必ず殺してやる!」

「楽しみだ。」

こうして王の列は、この村を過ぎ去った。


残ったのは、悲しみだけだった。

正英と慶文の遺体は、私の家に運ばれた。

「慶文、正英……」

胸に大きな穴が開いたように、私は打ちのめされた。

髪には1週間前、慶文が買ってきてくれた髪飾りがあった。

「慶文……」

そして頭が割れて無残な姿になった息子。

「正英……」

床に座って、目の前に起こっている事が、信じられなかった。


「うう……慶文……」

「正英ちゃん……」

隣の家の昇龍さんと照葉さんも、二人の死を悼みに来てくれた。

他の家の者は、”王に無礼を働いた家族”という事で、悲しみにも来てくれない。

「何で、こんな事が起こるんだよう。」
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