傾国の姫君
「ところで慶文。」

隣の家の昇龍さんが、壁の側にある長椅子に座った。

「何だい。」

私達親子も、長椅子に座った。

「王が、この村に来るらしいぞ。」

「秦王が⁉」

私と夫は、顔を合わせた。

中央にいる王が、なぜこんな小さな村に?

「何でも、国にあちらこちらを、視察して回っているらしい。」

「どうして。」

「威厳を見せつける為だろ。国の中には、王って本当にいるのかという奴もいるからな。」

「へえ。」

息子の正英は、もう話に聞き飽きたのか、私の手を離れて、庭の畑を駆けまわった。

「それとよう、もう一つ目的があるらしい。」

昇龍さんは、立ち上がると家の中を見回した。

「誰もいないな。」

「何だよ。内緒の話か。」

昇龍さんは、私達に手招きをした。

「実は、王お抱えの役人を探すらしい。」

「お抱えの役人って言えば、優秀な人材が抱えられるんだろう。」
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