若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~

どうしようか迷い始め、改めてスマホに視線を落とした時、ちょうど蓮さんからのメッセージが届いた。


「すまない。仕事でトラブルがあって、帰宅が遅くなる」


思考が一時停止し、手と足が僅かに震える。

それは本当のことだろうかと疑ってしまったら最後、渡瀬先輩の言葉が蘇ってきて呼吸がうまくできなくなる。

本当は今隣に彼女がいて、昨日のように帰らないでと懇願されているんじゃないかと、どうしても思えてしまう。

もう今日は帰らない。

蓮さんを疑ってしまっている今、帰るかどうかすらわからない彼をひとりっきりで待つのは耐えられない。


「わかりました。私も今日は実家に泊まることにします」


わだかまりを抱えながらそう返すと、すぐに蓮さんが反応した。


「泊まるのか? わかった。夜に連絡する」


深読みなんてしたくないのに、私が帰らないと知って、今夜も渡瀬先輩と一緒に過ごすかもしれないなんて思ってしまう。

大きくため息をついて、私はスマホをテーブルの上に置く。

そしてバッグのそばに落ちている彼のネクタイをじっと見つめる。

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