若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
受け入れた唇の熱が、私の中に火を灯す。
焦れるように指先で素肌をなぞられ、甘ったるく互いの吐息が混ざり合えば、彼の動きに合わせてゆっくり堕ちていく。
露わになっていく素肌に重なる体温は熱くて、与えられたわずかな刺激にすら過敏に反応してしまう。
「蓮さん」
思わず発した声はまるで甘えているかのように響いた。
切なげに目元を細めてから、彼の唇が私の唇を捕らえ、そのまま味わうように首筋から鎖骨、そして膨らみへとゆったり移動していく。
艶やかに匂い立つような嬌声はもう止まらない。
私は必死に彼の背中へと手を伸ばした。
彼との仮初の関係が始まったのは、一年ほど前のこと。
大学を卒業し、実家である旅館の手伝いを本格的に始めた私の元に、蓮さんとのお見合い話が舞い込んできたのだ。
話を聞いた瞬間は、あの蓮先輩と私がお見合いだなんてそんな馬鹿なと冗談にしか聞こえなかった。
けれど、お見合い写真を繰り返し開いて先輩本人の姿を確認するうちに、まさか本当なのと動揺が膨らんでいった。
私が蓮さんを知ったのは中等部の時。
彼は同じ私立の学校に通う一学年上の先輩で、格好いいと女子の間で騒がれていた。