若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
彼女は蓮さんのそばにいることが多く、その時は必ずニコニコとしていて笑みを絶やさなかったため、彼を好きなんだと分かってやっぱりと納得し、同時に苦手な彼女が恋のライバルかと憂鬱にもなった。
とは言え、渡瀬先輩はとても綺麗でスタイルも良いし、男性から人気があった。
そんな彼女から好意を向けられているのだから、蓮さんだって表情には出さずとも内心では満更でもないと思っているのではと、……もしかしたら両思いかもしれないとまで思うようになっていく。
憧れてはいるけれど、彼は雲の上の存在。
部活という時間を共に過ごせて、時々言葉も交わせる。
蓮さんを遠くから見ているだけで、私は十分。
そんな風に思いつつ夏休みを迎え、ひとりで部室の掃除をしていた時、蓮さんが汗を拭きつつ入ってきた。
「……お、お疲れ様です」
「お疲れ」
狭い空間にふたりっきりな状態に緊張し、箒を持つ手に思わず無駄な力が入る。
しかも、彼が自分のロッカーに向かい、なんの躊躇いもなくユニフォームを脱ぎ捨て素肌を露わにしたため、私は「ひゃぁ」と変な叫び声をあげてしまった。