若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
「仕事帰りに寄れるわ。……あっ、そうだ。明日お茶請けを買うように頼まれてたんだった。ここに決めたわ」
「それなら会えるかもな。明日は俺もここにいる予定だ」
「そっか……会えたら良いな」
ぽつりと呟き数秒後、自分の言葉に一気に気恥ずかしくなる。
顔を熱くさせつつ視線をのぼらせれば、しっかり彼と目があった。
美麗な顔が驚いているように見えてしまえば、もう耐えられず、「お風呂、入ってきます」と急ぎ足で逃げ出した。
翌日、「行ってきます」とフロントにいた母にひと声かけてから、私はヤツシロの新店舗でお茶受けを購入すべく旅館を出た。
お客様は午後三時ごろ訪問予定なため、お昼ご飯を食べてから帰っても十分間に合う。
せっかくだし、併設されているカフェで食事しようとワクワクしながら電車に乗り込んだ。
そして、朝から繰り返し考えるのは、蓮さんと会えると良いなということ。
もちろん仕事の邪魔にはなりたくないため、ちらりとだけでも姿を見かけられればそれで十分だ。
電車を降りた後は、スマホで場所を確認しながら新店舗へ向かう。
「わぁ。お洒落ね」