若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~

真っ白な壁にヤツシロと流れるような文字で書かれた看板が付けられ、大きな暖簾をくぐれば石の灯籠と格子状の店舗入り口。

和モダンなのは外観だけでなく店内もで、和紙で覆われた丸い照明や、ショーケースの下部にも細かい模様が入っていて、とても凝っている。

テレビで紹介された影響か客も多い。

少し背伸びをしながら店内を見回すと、客に頭を下げつつ何か話をしている朱色の作務衣姿の店員を見つける。

はっきりとは見えないけれど、細い格子状の仕切りの向こうはカフェとなっているようだった。

そっちも混んでるだろうなと思いながら、店員の近くにメニューらしきものが置かれているのに気づき、興味津々で近づいていく。


「すみません。ただいま満席でして」


メニューを見るよりも先に店員から声をかけられた。

入り口近くでは客が何組か待っている様子もあり、通されるまで結構時間がかかるかもと予想する。

迷ったけれど、カフェはまた今度にしようと決めて、「わかりました」と店員に返事をした。

そのまま身を翻して戻ろうとしたが、入り口からカフェ内へと視線が向いた瞬間、動きが止まった。

蓮さんの姿が視界に入ったからだ。

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