君の知らない恋の話
「じゃあ、また伸ばしてみるね」

放課後の教室、ずっとあなたに触れたかった。



高等科を卒業してから、私たちは別々の大学に進学した。時々会って遊んで、会うたびに綺麗になっていく和子ちゃんにいつも見惚れてしまっていた。きっと見惚れてしまうのは、これからも変わらないと思う。

社会人になってからは、お互い忙しくてたまに電話をする程度で、なかなか会うことはできなくなった。それでも、声を聴けるだけでも嬉しくて、幸せなんだよ。

そんな時、一通の招待状が届いた。それは和子ちゃんの結婚式の招待状。そっか、彼女は結婚するんだ……。

その瞬間、今まで和子ちゃんに恋心を抱いていたんだと気付かされる。ようやく、この感情の名前がわかった。でも、幸せになろうとする和子ちゃんに想いを伝えることは、もう許されない。

結婚式当日、パーティードレスに身を包んで花嫁の控え室に行くと、綺麗なウエディングドレスを着た和子ちゃんが幸せそうに微笑んでいた。その髪はショートカットになっている。
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