気づけば君が近くにいてくれた



新着メッセージが来ているのは、SNSアプリのダイレクトメール。


熱中する趣味も特にない私には、唯一好きなアーティストがいた。


そのアーティストの名前はC&H(ツェーアンドハー)


お母さんとお父さんが好きだったアーティストで、ドライブに行く時には車内でよくこの人たちの曲が流れていた。


毎回流れているものだから嫌でも耳に入るようになっていて、聞いているうちにいつの間にか私も好きになっていて、気づけばすっかりファンになってしまった。


今も活動していて音楽番組に出演したり、コンサートなんかも行っているけれど、お母さんお父さん世代の曲はなかなか私たちの年代で好きな人はいない。


私のように親が聞いていて好きになったという人が稀にいるレベルだ。


それでも、C&Hの歌う曲が今も私とお母さんお父さんを繋いでくれている気がして、毎日部屋にある古いラジカセで聞いていた。


1人が楽。


そう思いつつもやっぱり少し寂しさもあって。


誰か話し相手が欲しいと思うようになったのは、中学生で不登校になってから1年くらいが経った頃だと思う。


ネットを見ていて趣味アカウントというものがあることを知った。


SNSであれば私のことは名前も顔も知らない人と話すことができる。


そんなところに魅力を感じて、唯一好きだったC&Hの趣味アカウントを作成することにした。






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