気づけば君が近くにいてくれた



せっかく2人が家に来てくれているのに……


そんな時に何を考えてたんだ、私は。



「言える悩み事なら僕たちが聞くよ?」



藤波くんは私たちの様子を見て、動かしていたペンを置いて、こちらを見た。


藤波くんの優しい言葉に、香純ちゃんもうんうんと頷く。


2人は私に優しすぎるくらいに優しい。


ちょっとしたことにも気づいてくれて、心配してくれる。


それなのに。


今まさに2人のことを考えて、そんなことありえないと突き放してしまいそうになっていた。


そんなマイナスのことしか考えられない自分が嫌になる。


いらない心配を2人にかけさせて、これこそ迷惑なんじゃないだろうか。



「まぁ、勉強ばかりじゃ嫌になるよね」



そう呟いて、藤波くんはうーんと腕を上げて体を伸ばす。



「……?」


「だよね。私も勉強漬けとか頭おかしくなりそうだもん」



ちょっと休憩、とシャープペンを机の上に置いた香純ちゃんは、藤波くんの真似をして、うーんと体を伸ばしていた。




< 86 / 195 >

この作品をシェア

pagetop