気づけば君が近くにいてくれた
せっかく2人が家に来てくれているのに……
そんな時に何を考えてたんだ、私は。
「言える悩み事なら僕たちが聞くよ?」
藤波くんは私たちの様子を見て、動かしていたペンを置いて、こちらを見た。
藤波くんの優しい言葉に、香純ちゃんもうんうんと頷く。
2人は私に優しすぎるくらいに優しい。
ちょっとしたことにも気づいてくれて、心配してくれる。
それなのに。
今まさに2人のことを考えて、そんなことありえないと突き放してしまいそうになっていた。
そんなマイナスのことしか考えられない自分が嫌になる。
いらない心配を2人にかけさせて、これこそ迷惑なんじゃないだろうか。
「まぁ、勉強ばかりじゃ嫌になるよね」
そう呟いて、藤波くんはうーんと腕を上げて体を伸ばす。
「……?」
「だよね。私も勉強漬けとか頭おかしくなりそうだもん」
ちょっと休憩、とシャープペンを机の上に置いた香純ちゃんは、藤波くんの真似をして、うーんと体を伸ばしていた。