廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「わかりました。でも、サロンにお一人で大丈夫ですか?」

「もちろんよ。私は何十年もここにいましたからね。それよりも、ルキアが迷子にならないかの方が心配ね」

「……うっ……確かに……」

愚問を投げ掛けてしまったことを激しく後悔した。
おばあ様がサロンで困るより、私が迷子になる確率の方が遥かに高い。

「ほほほっ。そんなに青くならなくても大丈夫よ。ダリオンの居所は、大広間にいる使用人の誰かにお聞きなさい。すぐに調べて連絡をしてくれるわ」

「そ、そうなのですね。わかりました!では行ってきます!」

サロンにおばあ様を残し、私は晩餐会の行われた大広間へと戻った。
設置されていたテーブルはすっかり片付けられて、あとにはとてつもなく広い空間が残されている。
きっと晩餐会の他にも舞踏会や各種式典、いろいろな催しに対応しているのね。
そんなことをぼんやり考えつつ、私はダリオンを探した。
今、大広間に残っているのは片付けが大方終わった使用人たちで、王族貴族の殿方は残っていないようだ。
これは、誰かに聞いた方がいいわね。

「あの……ちょっとよろしいですか?」

テーブルクロスを抱えていた男性使用人に声をかけた。

「え?……あ!あ、はい!何か御用でしょうか!」

彼は最初キョロキョロとし、目下に声の主を確認するとさっと膝を付いた。

「私、エスカーダ家の者なのですが、カトレア様からダリオン様を探すように言われまして……」

「エスカーダ公爵様ですね!確か先程までユグリス殿下と共にいたと……今すぐ伝言を伝えて参りますので、ここで暫くお待ち頂けますでしょうか?」

「はい。お願いします!」
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