廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
ニヤリと笑う老人の前で、私の息は止まりそうになった。
……赤い髪の女、巫女……。
どこかで聞いたフレーズに、喉の奥が塞がれたように苦しい。
頭に浮かんでいたのは、アルカディア劇団のお芝居。
ヒロインの名前は違うけれど、赤い髪の巫女が出てきた。
この老人は今、赤い髪の巫女がシエナだと言った?
まさか、本当に?
困惑する私の前で、老人は肩を竦めて見せた。
「なんだお前、母親のことを何も知らなかったのか?シエナはグウェイン族の生まれで、集落が襲撃された時拐われた。そして、フェルナンシア王に売られたのだ。お前はそのシエナの子なのだよ」
「拐われて……売られた?そんなはずないわ」
否定してみたけれど、思い当たることは多い。
東の出身、赤い髪。
なにも教えてくれなかったのは、真実を聞いて私がショックを受けると思ったのではないか。
考えを巡らせる私を、ローリーが泣きそうな表情で見ている。
突然告げられたとんでもない話に、彼女もどうしていいかわからないみたいだ。
でも、この話を信じるのはまだ早い。
老人がどうしてそこまで知っているのか、それを聞くまでは。
「……あなたは何者ですか?」
「ワシらは人身売買を生業とする集団。奴隷商人とも言うな。シエナを拐いフェルナンシア王に売ったのもワシらだよ」
「何ですって!?」
抑揚無く語る老人に、ローリーが激怒した。
彼女のうしろで、私は立っているのがやっとの状態だ。
老人が母のことを細かく知っているのは、当事者だったから。
拐った本人が言うのだから、もう間違いは……ない。
……赤い髪の女、巫女……。
どこかで聞いたフレーズに、喉の奥が塞がれたように苦しい。
頭に浮かんでいたのは、アルカディア劇団のお芝居。
ヒロインの名前は違うけれど、赤い髪の巫女が出てきた。
この老人は今、赤い髪の巫女がシエナだと言った?
まさか、本当に?
困惑する私の前で、老人は肩を竦めて見せた。
「なんだお前、母親のことを何も知らなかったのか?シエナはグウェイン族の生まれで、集落が襲撃された時拐われた。そして、フェルナンシア王に売られたのだ。お前はそのシエナの子なのだよ」
「拐われて……売られた?そんなはずないわ」
否定してみたけれど、思い当たることは多い。
東の出身、赤い髪。
なにも教えてくれなかったのは、真実を聞いて私がショックを受けると思ったのではないか。
考えを巡らせる私を、ローリーが泣きそうな表情で見ている。
突然告げられたとんでもない話に、彼女もどうしていいかわからないみたいだ。
でも、この話を信じるのはまだ早い。
老人がどうしてそこまで知っているのか、それを聞くまでは。
「……あなたは何者ですか?」
「ワシらは人身売買を生業とする集団。奴隷商人とも言うな。シエナを拐いフェルナンシア王に売ったのもワシらだよ」
「何ですって!?」
抑揚無く語る老人に、ローリーが激怒した。
彼女のうしろで、私は立っているのがやっとの状態だ。
老人が母のことを細かく知っているのは、当事者だったから。
拐った本人が言うのだから、もう間違いは……ない。