廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
6、カトレア・エスカーダ

別館の重い扉を抜け、カトレア様のいる書斎の前に立つと、もう心は落ち着いていた。
なるようにしかならない……と、開き直り、扉を強くノックする。

「お入りなさい」

凛とした声が館内に響き、私は室内へと入った。
カトレア様は、中庭の窓に体を向けている。
さっきまで私がお芝居をしていた場所を見ているようだけど、こちらからは良くわからなかった。

「カトレア様。私をお呼びだと聞きましたが」

「ルキア・フェルナンシア。幼子にあのような演技が出来るとは。不思議なものね」

まるで独り言のように呟くカトレア様から、刺々しさは微塵も感じなかった。
叱るために呼んだのではないらしい。
でも、今の独り言に対する答えは返せそうにない。
だって、前世は女優でした、なんて絶対信じて貰えないわ。

「もしかして、芝居や物語に興味があるの?」

「えっ?……あ、はい。そうです、そうなんですっ!お話やお芝居が大好きなんですっ!」

カトレア様の放った言葉は、私にとっての助け船になった。
これでなんとかごまかせそう?……と思った途端、カトレア様が振り向いた。
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