廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「心配をかけていたのは知っていたわ。でも、どうしても……人と語らう気にはなれなかったのよ」
「大切な方を亡くされたと聞きました。悲しいのは当然だと思います」
「ふ……年端も行かぬ子供にまで心配をされるなんて……」
自嘲気味に笑うカトレア様は、遠い目をして中庭のほうを向いた。
かろうじて光を感じることは出来るのか、少し眩しそうに目を細めている。
「夫を亡くし、子供を亡くし……終いには目も悪くなって。でもね、それは都合が良かった。だって、目が見えていても、もう愛する人を映すことは出来ないのだもの」
そのあまりの悲痛さに、返す言葉に詰まった。
愛する人がいない世界など、見る必要はない、カトレア様はそう言っているのだ。
「だけど、この数日。私は奇妙な体験をしたのよ」
「奇妙な体験……?」
「そう。中庭から聞こえてくるあなたの声を窓辺で聞いていた時。そのコロコロ変わる不思議な声を聞いていると……」
カトレア様は、一端言葉を溜め、やがて意を決したように言った。
「隣に夫、ディミトリの気配を感じたのよ。ふふ、信じられないわよね。でも、私は確かに感じた。肩に手を触れ、一緒にあなたのお芝居を聞いていた……ディミトリはここにいたの……」
「カトレア様。ディミトリ様は間違いなくいたと思います」
きっぱりとした口調で、私は返答をした。
「大切な方を亡くされたと聞きました。悲しいのは当然だと思います」
「ふ……年端も行かぬ子供にまで心配をされるなんて……」
自嘲気味に笑うカトレア様は、遠い目をして中庭のほうを向いた。
かろうじて光を感じることは出来るのか、少し眩しそうに目を細めている。
「夫を亡くし、子供を亡くし……終いには目も悪くなって。でもね、それは都合が良かった。だって、目が見えていても、もう愛する人を映すことは出来ないのだもの」
そのあまりの悲痛さに、返す言葉に詰まった。
愛する人がいない世界など、見る必要はない、カトレア様はそう言っているのだ。
「だけど、この数日。私は奇妙な体験をしたのよ」
「奇妙な体験……?」
「そう。中庭から聞こえてくるあなたの声を窓辺で聞いていた時。そのコロコロ変わる不思議な声を聞いていると……」
カトレア様は、一端言葉を溜め、やがて意を決したように言った。
「隣に夫、ディミトリの気配を感じたのよ。ふふ、信じられないわよね。でも、私は確かに感じた。肩に手を触れ、一緒にあなたのお芝居を聞いていた……ディミトリはここにいたの……」
「カトレア様。ディミトリ様は間違いなくいたと思います」
きっぱりとした口調で、私は返答をした。