廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「あっ!……ええと、おばあ……様?」

言い慣れない言葉が自分の口から出るのは、なんだかむず痒い。
でも反面、心はポカポカと温かく幸福感に満ちている。

「良く出来ましたね。それでは……」

おばあ様はスッとこちらに手を出した。

「手を引いて頂戴。本館へと移るわ」

「は、はいっ!」

差し出された手を掴むと、おばあ様はゆっくりと立ち上がった。
その所作は洗練され、背筋が伸びて美しい。
どこの王族より飛び抜けて風格のあるこの女性を「おばあ様」と呼べることが誇らしかった。

私たちが本館へ向かうと、すでに午後のお茶の準備が出来ていた。
セルジュが、真っ先にみんなに伝えたのだろう。
エレナはおばあ様を見て、感極まって涙を流し、ローリーはぷるぷると震え、ミレイユは洋服の袖をキツく握り締めている。
この日を夢に見ながら過ごしていたのだもの。
嬉しくて当然よね。

「皆、世話をかけましたね」

おばあ様はメイドたちに言った。

「とんでもございません!カトレア様っ!私どもは、きっとこのような日が来ると信じておりました!」

エレナが叫び、ローリーとミレイユも頷く。

「ありがとう。皆の気持ちに感謝を。それでは、折角だからお茶を頂きましょう」
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