廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「後で聞くと、セルジュ様やローリーやミレイユ、屋敷の全員が同じように感じたそうです!ですから私たち、ルキア様はエスカーダにとっての女神だと思っているのですわ」

「え、えっと……どういうこと?」

女神!?
そんな大層な名称をつけられるのは、こっぱずかしいんですけど?

「レグナントより遥か東、神秘なる土地で信仰される古い神の一人に、芸術と芸能を司る女神がいるそうです。名をローディアと言い赤い髪の美しい女神なのだとか。彼女は、舞踏や演劇、歌を嗜み、その力で厄災や病魔を払うとされています」

「ふぅん。そんな女神様がいるのね」

「はいっ!カトレア様の生きる力を取り戻し、エスカーダ家に新風を吹き込んだルキア様は、私どもの女神なのですわ!」

エレナは断言した。
いや、待ってよ。
それだけで、女神扱いされても困ります!
どこにも被る要素はない。あえていうなら、髪の色が同じなだけだ。

「残念ながら私には何の力もないわよ。でも、エスカーダのみんなに会えて、生きていける場所を貰ったから、一緒に幸せになれるように努力したいと思ってるわ」

そうなのだ。
どちらかと言うと、私にとって一陣の風はエスカーダの人たち。
平穏な日々をくれた恩人なのである。

「ルキア様は王族であったのに、少しも奢るところがありませんのね?それに、達観しているというか、私たちと年も近いような気がします」

「うっ……」

エレナはなかなかにするどい。
日頃から、七歳の子供だというのを心がけているけれど、ふとした時に、人生を達観したアラサーが現れる。
気を付けないといけない。
前世が、いや中身が、三十過ぎてるなんて知られてはならない!
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