廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
談話室に軽快な音楽が響く。
オルガン担当はローズで、劇のストーリーに合った音楽を即興で弾いてくれる。
私とセドリックは、それに合わせながら、滞りなく演技を続けていた。
人形劇の内容は、ある国のお姫様がその美貌ゆえに継母の王妃に命を狙われるが、小人たちに助けられ、最後は他国の王子に見初められるという話である。
何の知識もないまま、演じていた私はこの話をどこかで聞いたことがある、と感じていた。
お姫様、継母王妃、小人たち。
登場人物とストーリーはもうあの有名な童話そのものだ。
どの世界にも同じような物語が存在しているのね。
不思議に思っていると、人形劇はもう後半に差し掛かっていた。
私とセドリックの演技にも熱が入る。
観客の反応は見えなかったけれど、聞こえてくる子供たちの応援する声や、患者さんの感心する声で喜んで貰えているのはわかった。

「おお、賢く美しい姫!どうか、この私と結婚して下さい」

王子役のセドリックの声が低く響く。
彼は小人七人、鏡の精、王子と一人九役をこなしている。
そのどれもが、キャラぶれもなく、しっかりと演じ分けられていて、天才は何でも出来てしまうのかと羨ましく思った。
私なんてこれしか特技がないのに、世の中不公平ね!

「勇敢な王子様。私でよろしければ、どうか末長くお願い致します」

ラストの台詞、王子のプロポーズに全力で答えると、談話室から拍手喝采が巻き起こった。
初めての人形劇は、どうやら「大成功」で終わったらしい。
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