廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
私たちは一旦ローズと別れ、談話室の前方、木で出来た大きな台の裏に体を滑り込ませる。
大きな台は人形劇の舞台で、裏手は案外広く、子供二人なら余裕で動作が可能だ。
木箱を下に置いて、セドリックは人形を数体、私に手渡した。

「ルキア様には、このお姫様と王妃様の操作をお願いします。台詞は僕が囁きますからそれを復唱して下さい」

「わかりましたわ。セドリック様は台詞を暗記しているのですか?」

ふとした疑問を尋ねると、彼は初めて照れ臭そうな顔をした。

「僕、何でも一度で覚えてしまえるのです。本とか、もちろんお芝居の台本も」

「凄いですね!あ、だから天才と言われているのでしょうか?」

「天才はやめて下さい。物覚えがいいだけの子どもです」

『子どもです』なんて、言えてしまうところが、すでに天才なのではないでしょうか!?

「その謙遜が、セドリック様の美徳ですね。見習いたいものです」

私の言葉に頬を染めるセドリックは、大人びた天才の様相を少しだけ消していた。
そして、コホンと仕切り直して咳をすると、人形劇の準備に取りかかった。
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