廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「そうなんですよー!だから、奇跡じゃないかってみんな言ってるんです!アルベルト先生もびっくりしていましたからね!」

「だろうね。兄さんじゃなくてもびっくりするよ。でも、奇跡って……あり得るのかな?」

「あら、セドリック様は現実主義者なのですか?」

ローズはからかうように言った。

「そうじゃないよ!だけど……そんなお手軽に奇跡が起こるものかなって」

「それは私も不思議に思いますけど。でも、良いことじゃないですか。素直に神の奇跡に感謝しましょう」

ローズが天を仰ぐ前で、私とセドリックも顔を見合せて頷いた。
奇跡でも奇跡じゃなくても、元気になって退院出来るのだから、これほど喜ばしいことはない。
談話室を見回すと、最初に出会った時よりも、みんな元気そうな気がした。
細かった腕やこけた頬はふっくらとしているし、何より血色が良い。
原因不明の病なんてなかったように、笑顔が飛び交っていた。

「奇跡が広がるといいですね」

私は呟いた。
病気が広がるのは嫌だけど、奇跡ならどんどん広がって欲しい。
すると、ボソッとセドリックが言った。

「……奇跡は、誰かが連れてきたのかな。いや、ひょっとすると……」

「え?」

「あ、いや。なんでもありません!」

そう言って笑ったセドリックは、バツが悪そうに頭をかいた。
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