堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「お待たせしてしまって、申し訳ございません」

 ちょっと人前に出るような恰好にしてもらったエレオノーラは、サロンでダニエルと話をしていたジルベルトに向かって頭を下げた。

「では、妹も来たことですので。私はこれで」

 ダニエルが立ち上がり、サロンを後にした。どう見てもその姿はそそくさという表現が似合うような逃げ方だった。
 兄の姿を見送ったエレオノーラはなぜかその場で立ち尽くしていた。

「エレン、座ったらどうだ?」

「あ、はい。すいません」
 本当に目の前にジルベルトがいる。そう思ったら、立ち尽くすしかなかった。

「いや、別に謝るようなことはしていない。むしろ謝らなければならないのはこちらの方だな。急に押しかけてしまって申し訳ない。ダニエル殿に聞いたら、しばらく向こうに行かないと言うことだったので」
 ジルベルトが言う向こうとは王城内にある第零騎士団の建物のことだろう。
「ダニエル殿の帰宅に合わせて、共に来てしまった。すまない」

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