堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「お嬢様、リガウン侯爵家のジルベルト様がいらっしゃいました」
 侍女のパメラが呼びに来た。

「では、行ってまいります」
 エレオノーラの挨拶はまるで騎士のそれ。

「エレン。淑女らしく振舞いなさい」
 ダニエルの言葉が飛んだ。これでは先が思いやられる。
 執事に手を引かれて、エレオノーラはジルベルトの元へと向かった。

「お待たせしました」

 エレオノーラの姿を見た瞬間、ジルベルトが固まった。エレオノーラでもわかるくらい、ビシッと固まった。それに気付いたエレオノーラは少し焦った。いつもの知的美人で攻めてみたが、失敗だったか。

「エレオノーラ嬢をお預かりいたします」

 ジルベルトは何事もなかったかのように、エレオノーラの手をとった。先ほどの彼の態度は、エレオノーラの気のせいだったのだろうか。

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