堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 馬車に乗ってジルベルトと二人で王宮に向かうのは二回目。向かい合って座ろうとすると、隣の席をポンポンと彼から合図されたため、今日も並んで座る。

「ジル様。素敵なドレスをありがとうございます」

「いや、まあ。よく似合っている」
 そう言うジルベルトは、なぜかエレオノーラの方を見ようとはしない。隣に座れ、とあぴーるしてきたわりには。

「ありがとうございます。ジル様の瞳の色と同じ色です」
 ドレスは淡い緑色。ジルベルトの瞳の色も緑。こういう小細工をするところが、あの母親。

「ジル様、具合が悪いのですか?」

 けして口数が多いジルベルトではないのだが、いつもと様子がおかしい。なぜか先ほどからこちらを見てくれない。
 エレオノーラはジルベルトの顔を覗き込んだ。といっても、エレオノーラが下から見上げる形になるのだが。

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